AI検索時代に何が変わった?クリックより「参照される情報設計」が重要になる理由

AI検索時代に何が変わった?クリックより「参照される情報設計」が重要になる理由

公開日: 最終更新:

「うちのサイト、順位は悪くないのにアクセス数が落ちてて…何が起きてるんだろう」

この違和感、いま多くの現場で起きています。背景には、AI検索によるゼロクリック化が進んでいることがあります。調べものに生成AIを使う人は43.5%に達し、Webサイト訪問頻度が減ったと答える利用者も3割を超えています。検索タイプによって差はありますが、要約が表示される場面ではクリックが減りやすい傾向があります。

問われるのは「引用される情報設計」。構造化・出典・一次情報・比較可能性という4点を押さえれば、クリックされなくても参照される接点が作れます。

AI検索では「検索順位」よりも「答えの部品として採用されるか」が成果を左右します。

この記事では、AI検索時代の変化を整理し、GEO/AEOを導入するための対応方法を見ていきます。

いま起きている変化は「順位」ではなく「参照のされ方」

順位は悪くないのにアクセスが減っている...そんな状況に戸惑う声が増えています。原因は「参照のされ方」が変わったことかもしれません。

検索結果の上位は取れている。 なのに、クリック数が伸びない。

この違和感の背景には、ユーザーが検索結果ページの要約から直接答えを得て、リンクを踏まずに次へ進むケースが増えていることがあります。

一言で言うと、評価軸が「順位」から「参照のされ方」に広がりつつあります。あなたのサイトが「見つかる」だけでは不十分で、「引用される」「参照される」形で情報が取り上げられるかどうかが問われます。

AIによる要約や統合型の回答では、引用と言及の両方を獲得したコンテンツは、引用だけの場合に比べて再表示される可能性が40%高いという調査結果があります。また、AI回答において引用される確率は、引用と言及の両方を獲得する確率の3倍高いことも分かっています。

つまり、従来の「検索順位」という一次元の評価軸だけでは、成果を説明しきれなくなりました。

クリック数が減っても、あなたのサイトが信頼できる情報源として引用され、ユーザーの意思決定に影響を与えているなら、それは価値のある接点です。Semrushの調査では、Q&A形式のコンテンツはAI引用率が+25.45%、セクション構造が明確なページは+22.91%高いという相関が見られており、情報の「見せ方」が結果を左右することを示しています。

ユーザー行動はどう変わるか

参照のされ方が変わった背景には、ユーザーの行動変化があります。検索結果のリンクを踏まずに、要約だけで意思決定を進める人が増えています。

2025年10月の調査で、調べものに生成AIを利用する人は43.5%に達しました。前回調査の28.7%から14.8ポイント増。半年で約1.5倍です。

これは「検索→クリック→閲覧」という流れが壊れ始めていることを示します。

実際、1,504人を対象とした調査によると、生成AI利用者の38.2%は検索エンジンを以前より使わなくなり、6.0%はほとんど使わなくなりました。さらに30.5%がWebサイト訪問頻度が減少したと答えています。検索エンジンやWebサイトへの依存度が下がり、AI上で課題を解決するケースが増えていることがうかがえます。

これを「ゼロクリック検索」と呼びます。 ユーザーは検索結果画面やAI検索の要約だけで意思決定を終え、企業サイトに流入しにくくなります。

なぜこうなるのでしょうか? AIが複数のサイトから情報を集めて統合してくれるため、ユーザーは「どれか1つのサイトを開いて読む」必要がなくなったからと考えられます。

比較・要約・判断をAIに委ねられるので、クリックの動機が弱まります。

結果として、「検索順位が取れていれば流入する」という前提は成り立ちにくくなっています。では、検索体験そのものはどう変わっているのでしょうか。

検索体験はどう変わる?

リンクを踏まない行動が増えた理由は、検索結果の見た目が変わったからです。検索窓に質問を入れたら、リンクの上に答えが書いてある――こんな体験が増えています。

AI Overviewsとは?

Googleはこの機能を「AI Overviews(AI概要)」と呼んでいます。複数のページから情報を集めて、質問に対する答えを1つの段落にまとめて表示する仕組みです。

たとえば「○○と△△の違いは?」と調べたとき、従来なら複数のサイトを開いて読み比べていた方が多かったのではないでしょうか。いまはAI Overviewsがその比較結果を、クリック前に表示します。

AIから引用される情報の特徴

この変化は、SEOで上位を獲得してきた企業にも甚大な影響を与える可能性があります。

上位に表示されていても、Ahrefsの分析では1位のCTRが約34.5%低いという相関が報告されています。一方で、Semrushの観測ではゼロクリック率がAI Overviews導入前後でわずかに下がったという結果もあり、影響の大きさはクエリの種類や業界によって異なります。いずれにせよ、要約を読んで満足し、サイトへ訪れないケースが増えている傾向は共通しています。

要約に引用される情報には共通点があります。「誰が」「いつ」「どこで」が明記され、比較可能な形で整理されている。曖昧な表現や、古い日付のままのページは、クエリによっては統合対象から外されやすくなります。

AIは複数ソースを横断して矛盾を検出するため、出典が弱い主張は採用されにくくなります。

こうした変化は、企業側の評価軸にも影響を及ぼしています。

企業側に何が起きるか:評価軸が「発見」から「説明可能性」へ

要約で答えが出る体験が増えると、企業側の評価軸も変わります。ユーザーに「見つけてもらう」だけでなく、AIに「引用される形で説明できる」ことが求められるようになります。

従来のSEOからの変化

これまでのSEOは「ユーザーに見つけてもらう」ことが第一でした。検索結果の1ページ目、できれば3位以内に入れば、クリックが期待できる。その前提で、タイトルやディスクリプションを磨き、被リンクを獲得してきました。

しかしAI Overviewsのような要約型検索が広がると、状況が変わります。ユーザーは検索結果ページで答えを得て、サイトを訪れないケースが増えています。「見つかる」だけでは価値を届けられなくなっています。

代わりに問われるのが「説明可能性」です。

AIが要約を生成する際、どのサイトの情報を根拠として引用するかは、そのサイトが持つ信頼性シグナルに左右されます。

Googleの検索品質評価ガイドライン(PDF)では、コンテンツの品質を測る基準としてE-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)が定義されており、その中でも「信頼性(Trustworthiness)」を最も重要な要素として位置づけています(ガイドライン内の図表で、Trustが中心に配置されています)。

出典が明記されているか。一次情報か。更新が適切に管理されているか。こうした「説明できる裏付け」を持つコンテンツが、AIに引用されやすくなります。

「今すぐ対応」vs「様子見」、どちらが正しい?

一方で、AI検索対応をめぐる意見は割れています。「今すぐ投資すべき」という主張がある一方で、「急ぐ必要はない」という専門家の声も混在し、経営判断を難しくしています。

一部の業種・クエリでは、AI Overviews導入後にトラフィックが減少したという報告もあります。ただし減少幅は調査によって大きく異なり、クエリの種類・業界・計測期間によって結果が割れているのが現状です。すべてのサイトに一律に当てはまるわけではありません。

この変化だけ見れば「対応しなければ終わる」と焦りたくなります。しかし逆に言えば、引用されることで別の形で価値を届けられる可能性も同時に生まれています。

重要なのは、どちらの陣営にも乗らないことです。土台を作って、観測で判断する。それが一番ブレません。

従来のSEOは無意味にならない

従来のSEOが無意味になったわけではありません。検索結果に表示され、クリックされる価値は依然として存在します。ただしそれに加えて、クリックされなくても参照され、信頼されるための設計が必要になった。

評価軸が「発見される」から「説明可能性を持つ」へと広がった、と考えるのが自然です。

出典の記載があいまいなページ、更新日が古いまま放置されているコンテンツ、一次情報なのに伝わりにくい書き方をしている記事。どれか1つを改善するだけでも、AIに引用される土台は作れます。

SEO・GEO・AEOは置き換えではなく役割分担

評価軸の変化に対応する文脈で、GEO(Generative Engine Optimization)やAEO(Answer Engine Optimization)といった用語を聞く機会が増えました。まだ定義も揺れていて、営業トークにしか聞こえないという不安があるかもしれません。

しかし実際には、これらはSEOを置き換える概念ではありません。AI検索が広がる中で「どう参照されるか」を補完する設計の話です。

GEOとAEOとは?

GEOは2023年に学術論文で初めて提唱された概念で、生成型AIエンジンに自社の情報を正しく引用させるための最適化を指します。一方、AEOはFeatured SnippetsやAI Overviewsに直接回答を表示させることを目的とした、SEOの延長にある取り組みです。

どちらもクリックを前提とせず、要約や統合の中で参照される設計を考える点で共通しています。

効果は保証されるもの?

ただし、GEOもAEOも「やれば必ず引用される」わけではありません。構造化データを実装しても引用は保証されませんが、AIが内容を正確に理解する助けにはなります。つまり、これらは「引用確率を少しでも高める情報設計」であり、SEOの検索順位改善とは別の軸で取り組むものです。

今すぐ全面刷新する必要はありません。ただ、AI検索対応を「急ぐ必要なし」とする専門家意見と「今すぐ投資せよ」という煽りの両論が混在しているのも事実です。どちらが正しいかは状況次第ですが、少なくとも「参照されやすい情報設計」という土台は、どの立場でも否定されません。

ここまでの整理を踏まえ、具体的に何をすればいいかを見ていきます。

情報設計:構造・出典・一次情報・比較可能性

AI検索は複数のページを比較して「どの情報を引用するか」を判断します。そのとき、根拠や構造が明確なページほど選ばれやすくなります。

まず押さえておきたいのは次の4点です。

  1. 構造を明示する
  2. 出典を示す
  3. 一次情報を持つ
  4. 比較可能にする

それぞれ見ていきます。

1. 構造を明示する

見出し・箇条書き・表で情報の階層を明確にすることです。

AI検索は複数のページから情報を統合する際、「この部分が見出しで、この部分が補足」という構造を読み取ります。構造化データ要素を持つコンテンツは、AI引用率が+21.60%高いという観測もあります。

ただし、構造化データを入れれば必ず引用されるわけではありません。内容そのものの質が前提です。

2. 出典を示す

ここが最も手を付けやすいポイントです。主張の直後に「根拠(誰の・何の調査か)」を1行で置く。迷ったら、一次ソースへのリンクを最優先すると安心です。

AI Overviewsは一般に複数の情報源を引用して回答を構成する傾向があります。単独ソースだけでは信頼されにくく、複数の視点を示すことが参照の条件になりつつあります。

3. 一次情報を持つ

自社で取得したデータ・事例・検証結果など、他で代替できない情報を含めることです。

二次情報だけでは、他のページと差別化できません。一次情報があれば、AI検索が「このページにしかない視点」として評価しやすくなります。

4. 比較可能にする

他の選択肢と並べて判断できる形で情報を整理することです。

たとえばFAQを設置する場合、5個未満では価値が限定的で、10個を超えると焦点が薄れます。1ページあたり5〜10個のFAQ質問が最適とされています。比較のための材料が揃っていれば、AI検索は複数の候補から要約を作りやすくなります。

これらは「やれば効く」ものではなく、「やらないと候補にならない」ものです。

クリックが減っても、正しく参照されれば「検討の土台」には入り続けます。

エンジニアがいなくても着手できる順番としては、まず出典の明記(調査名・日付・URL)、次に更新日と更新履歴の表示、続いてよく聞かれる質問の5〜10個のFAQ化、最後に可能であればJSON-LDの実装です。

運用:更新フロー・責任者・素材管理・陳腐化対策

情報設計ができたら、次は運用体制です。公開して終わりではなく、更新し続ける前提で責任者とフローを決めておかないと、情報が古くなって引用されなくなります。

更新フローと責任者

少人数で回すなら、「誰が・何を・どの周期で見直すか」をルール化しておくと良いでしょう。どのコンテンツを、どの周期で、どう更新するかを決めておくことが成果の差を作ると考えられます。

古い記事の再評価、統合、タグ設計の見直し、AIによるリライト補助など、編集を前提とした運用体制が必要と言えます。

特に重要な「回答ページ」は、目安として3〜6ヶ月ごとに見直すと良いでしょう。AIエンジンは新しい情報を優先しやすい傾向があると言われており、競合が類似の事実でより新しい「最終更新日」を提供していると、引用が切り替わる可能性があります。ただし、これはクエリの性質にも依存します。

すべて同じ周期で回す必要はありません。変化が速いトピック(料金・法改正など)はより短い周期が必要です。変化が少ない制度・規約系は、更新頻度より変更管理や監修フローを優先するほうが良いかもしれません。

更新頻度が高いデータから棚卸し対象を決め、責任者を1人明確にしておくと判断が速くなります。

素材管理

数値データ・引用元URL・スクリーンショット・事例の更新日を記録しておくと、改訂時に「この情報はまだ使えるか?」の判断が楽になります。Googleスプレッドシートに「ページURL・最終更新日・次回見直し予定日・担当者」を並べるだけでも始められます。

陳腐化対策

優先する質問セットと場所(デスクトップ/モバイル、必要に応じてVPN使用)で週次キャプチャルーチンを作っておくと安心です。正確なクエリ、AI OverviewまたはAI Modeの表示有無、引用ソースとしての自社の存在/不在、スクリーンショットをログに記録します。このようにすることで、競合の動きや自社の立ち位置の変化を早期に察知できます。

運用が回り始めたら、次は「何を計測するか」の整理です。

計測は数字を急がず、変化を観測する

情報設計と運用を整えても、効果をどう測るかが曖昧だと手応えがつかめません。AI検索経由の接点はPVに表れにくいため、従来のPV・CVだけでは進捗が見えにくくなっています。観測する指標そのものを見直してみるのが良いでしょう。

短期KPIを追わない

短期で「何%改善」を求めると、計測そのものが迷走しやすいので、まずは指名検索や問い合わせ内容の変化を観測しましょう。

「うちのサイト、順位は悪くないのにアクセス数が落ちてて…」という現場の声は、参照のされ方が変わったシグナルかもしれません。週次で優先クエリの検索結果ページ(SERP)をキャプチャし、AI OverviewやAI Modeでの自社の引用有無を記録しておきます。スクリーンショットと併せてログを残せば、目安として3か月ほどで傾向が見え始めることが多いです。

流入の質を観測する

AI検索ユーザーは課題意識が明確で、コンバージョン率が高い傾向があるため、少数でも濃い接点が生まれます。PV減とCV増が同時に起きたら、それは失敗ではなく構造変化のサインです。GA4で流入元を「AI検索」としてタグ付けし、行動フローと成果を分けて観測すると変化が見えやすくなります。

よくある質問

AI検索対応は今すぐ必要?
全面刷新の必要はありません。まずは既存コンテンツの出典明記、更新日の表示、FAQ形式での情報整理など、HTMLやCMSの基本機能でできる範囲から始められます。構造化データは後回しでも、情報の透明性を高めるだけで参照されやすさは改善します。
GEOとSEOはどちらを優先すべき?
GEOはSEOを置き換えるものではなく、補完するものです。従来のSEO施策(E-E-A-T、構造化データ、FAQ)の多くがGEOにも有効なため、既存の投資を活かしながら「引用されやすい情報設計」を追加する形で進めるのが現実的です。
小規模企業でもリソースを割ける?
まず始めるなら、週1時間程度の棚卸しから始められます。自社サイトで最も参照されたいページを1つ選び、構造・出典・一次情報・比較可能性の4点が揃っているか確認してみると良いでしょう。
効果はどう測ればいい?
短期の数字を追うと迷走します。まず観測すべきは、指名検索や問い合わせ内容の変化です。週次で優先クエリの検索結果ページをキャプチャし、AI OverviewやAI Modeでの自社の引用有無を記録しておくと変化を追いやすくなります。

最後に

AI検索の仕組みは変化が早く、今日の最適解が陳腐化する可能性も考慮しておくと、後々良い備えとなるでしょう。

手を付けるなら、自社サイトで最も参照されたいページを1つ選び、構造・出典・一次情報・比較可能性の4点が揃っているか確認してみるところから始めるのがおすすめです。

次の一手を短時間で整理したい方は、スポット相談をぜひご利用ください。

AI検索対応の現状チェック(30分スポット相談)を予約する

#AI検索#GEO#AEO#SEO#ゼロクリック検索#情報設計
更新履歴(最終更新: 2026年2月3日
    • リンクと引用情報を最新情報に修正
    • 出典表記を最適化
    • FAQセクションを追加
    • 統計情報の根拠を明確化
    • トーン・表現を改善
    • 初回公開

この記事をシェアする

著者プロフィール

大崎 一徳 / エンジニア

中小企業向けに、AI導入・業務自動化・ツール開発を支援しています。 PoC から本番運用まで一貫して伴走し、「現場で使われ続ける仕組み」をつくることを大切にしています。

Udacity Deep Learning Nanodegree 修了
日本ディープラーニング協会(JDLA)主催 第1回ハッカソン GPU Eater賞受賞(チーム ニューラルポケット)

関連記事

RAGナレッジAI・業務自動化のご相談はお気軽に

現状の課題整理から公開後の運用まで、状況に合わせて丁寧にサポートします。